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日本語の発音練習
 ・シャドーイングと滑舌トレーニング

 ・音楽を使った日本語学習


シャドーイングと滑舌トレーニング
日本語の発音は、あなたの母語とは異なる点がたくさんあります。
正しい発音を身につけることは、スムーズなコミュニケーションのためにとても重要です。
ここでは、効果的な発音練習法である「シャドーイング」と「滑舌トレーニング」について詳しく見ていきましょう。

1.シャドーイング (Shadowing)
シャドーイングとは、聞こえてくる音声(日本語の音声教材、ニュース、ドラマ、ポッドキャストなど)を、まるで影(shadow)のように、少し遅れて追いかけながら発音する練習方法です。

シャドーイングの目的
・リスニング力の向上:音声を聞き取る力を高めます。
・発音・イントネーションの改善:ネイティブスピーカーの発音やイントネーションを真似ることで、より自然な発音を習得します。
・リズム感・流暢さの向上:日本語のリズムや話し方の流れを体で覚えることで、スムーズに話せるようになります。
・語彙・表現の定着:聞き慣れない単語や表現に触れることで、語彙力や表現力が向上します。

シャドーイングの具体的なやり方
1.教材を選ぶ
・レベル:あなたの日本語レベルに合った教材を選びましょう。最初はゆっくりとしたスピードで、内容が理解できるものがおすすめです。
・種類:日本語学習教材の音声、ニュース、ドラマ、アニメ、ポッドキャスト、YouTubeの日本語コンテンツなど、興味のあるものを選びましょう。スクリプト(文字起こし)があるものが理想的です。
・時間:短いもの(数分程度)から始め、徐々に時間を長くしていきましょう。
2.準備をする
・音声を聞く:まずは音声だけを注意深く聞いて、内容を理解します。
・スクリプトを読む:スクリプトを見ながら音声を聞き、わからない単語や表現の意味を確認します。発音記号が書かれている場合は、発音も確認しましょう。
3.シャドーイングを始める
・音声を再生する:音声を再生しながら、少し遅れて(0.5秒~1秒程度)聞こえてくる音声を真似して発音します。
4.意識すること
・リズムとイントネーション:声の高さや抑揚、話すスピードを意識して真似ましょう。
・発音:一つ一つの音を正確に発音するように心がけましょう。特に、あなたの母語にはない日本語特有の音(「つ」「ん」「り」など)に注意しましょう。
・意味を理解しながら:ただ音を出すだけでなく、意味を理解しながら発音するように心がけましょう。
・最初は完璧でなくてもOK:最初はうまくできなくても気にせず、何度も繰り返すことが大切です。
5.録音して確認する
自分のシャドーイングを録音して、ネイティブスピーカーの音声と聴き比べてみましょう。
どこが違うのか、改善点はどこかなどを客観的に把握することができます。
6.繰り返し練習する
同じ教材を何度も繰り返し練習することで、より自然な発音に近づけることができます。
色々な種類の教材で練習することも効果的です。

シャドーイングの注意点
・無理のないレベルから始める:難しすぎる教材は挫折の原因になります。
・完璧を目指しすぎない:最初はうまくできなくても、継続することが大切です。
・喉を痛めないように注意する:声を出しすぎたり、無理な発音を続けたりすると喉を痛めることがあります。適度に休憩を挟みましょう。


2.滑舌トレーニング
滑舌トレーニングとは、舌や唇、顎などの発音器官を意識的に動かすことで、よりはっきりとスムーズに発音できるようにするための練習です。日本語には、英語にはない音や、連続する音の変化などがあるため、滑舌を鍛えることは非常に有効です。

1.滑舌トレーニングの具体的な方法:準備運動
口の周りの筋肉をほぐす:
口を大きく開けたり閉じたりする。
唇を尖らせたり、横に広げたりする。
舌を前後左右に伸ばしたり、回したりする。
顎を左右に動かしたり、上下に開け閉めしたりする。
これらの運動を数回ずつ行い、口周りの筋肉をリラックスさせましょう。
母音の発音練習:
日本語の基本的な母音「あ・い・う・え・お」を、一つずつ意識してはっきりと発音します。
それぞれの音を発音する際の、舌の位置、唇の形、口の開き方を意識しましょう。
ゆっくりとしたスピードで、丁寧に発音することが大切です。
例:「あー」「いー」「うー」「えー」「おー」
子音と母音の組み合わせ練習:
子音と母音を組み合わせた音節を発音する練習をします。
清音(か・さ・た・な・は・ま・や・ら・わ行)、濁音(が・ざ・だ・ば行)、半濁音(ぱ行)、拗音(きゃ・しゅ・ちょなど)など、様々な音節を練習しましょう。
例:「か・き・く・け・こ」「さ・し・す・せ・そ」「きゃ・きゅ・きょ」
単語の発音練習:
日本語の単語を発音する練習をします。
辞書や音声教材などを参考に、正しいアクセント(音の高低)も意識しましょう。
難しいと感じる単語は、ゆっくりと一音ずつ確認しながら発音します。
例:「おはよう」「こんにちは」「ありがとう」「さようなら」「りんご」「さくら」
短いフレーズ・文の発音練習:
短いフレーズや簡単な文を発音する練習をします。
単語だけでなく、文全体のイントネーションやリズムを意識しましょう。
例:「今日はいい天気ですね。」「私は日本人ではありません。」「これは私の本です。」
早口言葉:
日本語の早口言葉は、特定の音の連続や、似たような音の繰り返しが含まれており、滑舌を鍛えるのに非常に効果的です。
最初はゆっくりと、正確に発音することを意識し、徐々にスピードを上げていきましょう。
例:
「赤パジャマ黄パジャマ茶パジャマ (Aka pajama ki pajama cha pajama - 赤いパジャマ 黄色いパジャマ 茶色いパジャマ)」
「隣の客はよく柿食う客だ (Tonari no kyaku wa yoku kaki kuu kyaku da - 隣の客はよく柿を食べる客だ)」
「バスガス爆発 (Basu gasu bakuhatsu - バスガス爆発)」
録音して確認する:
自分の発音を録音して、お手本の音声と聴き比べてみましょう。
改善点を見つけて、再度練習することが大切です。

2.滑舌トレーニングのポイント:
・毎日続ける:短時間でも良いので、毎日続けることが効果的です。
・意識的に発音する:普段の会話でも、一つ一つの音を意識して発音するように心がけましょう。
・鏡を見る:鏡で自分の口の形や舌の位置を確認しながら練習すると、より効果的です。
・発音記号を活用する: 辞書などに記載されている発音記号を参考に、正しい発音を確認しましょう。
・ネイティブスピーカーの発音をよく聞く:日本語の音声教材やネイティブスピーカーの会話を注意深く聞き、真似るようにしましょう。
・シャドーイングと滑舌トレーニングを組み合わせる:
シャドーイングと滑舌トレーニングは、それぞれ異なる側面から発音の改善に役立ちます。両方をバランスよく取り入れることで、より効果的に発音を上達させることができます。
例えば、滑舌トレーニングで個々の音を正確に発音する練習をした後に、シャドーイングで実際の会話の流れの中でその音を意識してみる、といったように組み合わせると良いでしょう。
焦らず、諦めずに、根気強く練習を続けることが、美しい日本語の発音を身につけるための鍵です。頑張ってください!

音楽を使った日本語学習

音楽は、言語学習を楽しく、そして効果的にサポートしてくれる素晴らしいツールです。日本の音楽、いわゆる「邦楽」には、様々なジャンルがあり、歌詞を通して生きた日本語や日本の文化に触れることができます。

 

1.邦楽で日本語を学ぶメリット

・楽しみながら学習できる:

好きな音楽を聴きながらなので、単調な学習になりにくく、モチベーションを維持しやすいです。

・自然な日本語に触れられる:

日常会話でよく使われる表現や、若者言葉、感情表現などを歌詞から学ぶことができます。

・リスニング力の向上:

歌を聴くことで、自然なスピードの日本語や、様々な発音、イントネーションに耳を慣らすことができます。

・語彙力・表現力の向上:

歌詞には、教科書には載っていないようなユニークな単語や表現が含まれていることがあります。

・文化や感情を理解できる:

歌詞には、日本の文化、習慣、人々の感情などが反映されていることが多く、言語だけでなく文化的な背景も学ぶことができます。

・記憶に残りやすい:

メロディーに乗せて覚えた単語やフレーズは、記憶に残りやすいと言われています。

・発音練習になる:

好きな歌を歌うことで、自然な発音やリズム感を身につけることができます。

 

2.邦楽を使った具体的な日本語学習方法

・好きな曲を選ぶ:

まずは、自分が興味を持てるジャンルやアーティストの曲を選びましょう。ポップス、ロック、アニメソング、伝統音楽など、何でも構いません。最初は、歌詞が比較的シンプルで、ゆっくりとしたテンポの曲を選ぶと取り組みやすいでしょう。

・歌詞を入手する:

インターネットで曲名と「歌詞」で検索すると、多くの歌詞サイトが見つかります。CDや配信サービスの歌詞表示機能を利用するのも良いでしょう。

・歌詞を見ながら曲を聴く:

最初は、歌詞を目で追いながら曲を聴き、どのような言葉が使われているかを確認します。わからない単語や漢字があれば、辞書で調べましょう。

・歌詞の内容を理解する:

調べた単語や文法の知識を使いながら、歌詞全体の意味を理解するように努めます。歌詞の背景にある物語や感情を想像してみるのも良いでしょう。

・発音を確認する:

歌詞サイトによっては、ひらがなやローマ字で読み方が書かれている場合があります。YouTubeなどの音楽動画で、歌手がどのように発音しているかを注意深く聴きましょう。発音記号がわかる場合は、辞書で確認するのも有効です。

・シャドーイングをする:

曲を再生しながら、歌手の歌に合わせて、少し遅れて声に出して歌ってみましょう(シャドーイングの応用)。イントネーション、リズム、発音を意識して真似ることが大切です。

・歌ってみる:

歌詞を見ながら、または覚えて歌ってみましょう。カラオケで歌うのも良い練習になります。録音して自分の歌声を聴き、改善点を見つけるのも効果的です。

・フレーズを覚える:

歌詞の中で、特に印象に残ったフレーズや、日常会話で使えそうな表現を抜き出して覚えましょう。例文を作ったり、実際に会話で使ってみることで、より定着しやすくなります。

・文法の構造を分析する:

歌詞に出てくる文の構造(主語、動詞、目的語、助詞など)を分析してみましょう。なぜそのような語順になっているのか、どのような文法が使われているのかを理解することで、文法力の向上につながります。

・文化的な背景を学ぶ:

歌詞に日本の季節、風習、歴史、社会問題などが反映されている場合があります。気になる部分があれば、調べてみることで、言語だけでなく日本の文化への理解も深まります。

 

3.様々なジャンルの邦楽と学習のヒント

・J-POP:

若者を中心に人気があり、日常会話で使われる表現や新しい言葉を学ぶのに適しています。人気のアーティストの曲は、歌詞や解説が多く見つかることがあります。

・ロック:

情熱的な表現や比喩が多い場合があります。スピードが速い曲もあるので、最初はゆっくりとした曲から挑戦しましょう。

・アニメソング (アニソン):

明瞭な発音で歌われていることが多く、ストーリーと合わせて感情表現を学べます。好きなアニメの主題歌や挿入歌から始めるのは良い方法です。

・伝統音楽 (民謡、演歌など):

日本の古い言葉遣いや独特の表現、文化に触れることができます。ゆっくりとしたテンポの曲が多く、歌詞も比較的聞き取りやすい場合があります。歌詞の意味や背景を調べると面白い発見があるかもしれません。

・ラップ:

リズム感が重要で、独特の言葉遣いや表現を学ぶことができます。スピードが速く、スラングも多い場合があるので、ある程度日本語に慣れてから挑戦すると良いでしょう。

 

注意点

・歌詞は必ずしも正しい日本語ではない:

芸術的な表現や、文法的に必ずしも正しくない歌詞もあります。学習の際は、歌詞の内容を鵜呑みにするだけでなく、文法書や辞書などで確認することも大切です。

・スラングや若者言葉に注意:

歌詞には、日常会話ではあまり使わないスラングや若者言葉が含まれていることがあります。使用する場面を間違えないように注意しましょう。

・自分のレベルに合った曲を選ぶ:

難しすぎる曲は挫折の原因になります。最初は簡単な曲から始め、徐々にレベルを上げていきましょう。

 

邦楽を使った日本語学習は、楽しみながら、生きた日本語や日本の文化に触れることができる素晴らしい方法です。好きな音楽を聴きながら、歌詞を理解し、歌うことで、リスニング、語彙、発音、文化理解など、様々な面で日本語能力を向上させることができます。ぜひ、あなたの好きな邦楽を見つけて、日本語学習に取り入れてみてください。

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