育成就労
外国人技能実習に代わる新制度「育成就労」は、2027年4月に施行される予定です。
育成就労制度は、人材確保と人材育成を目的としており、基本的に3年間の育成期間で特定技能1号の水準の人材に育成するとしています。育成就労制度は特定技能1号への移行のための在留資格です。
技能実習制度では、介護分野以外は日本語能力試験の要件はありませんでしたが、育成就労制度では、原則日本語能力試験N5が求められています。育成就労3年目の終了時に、従来の技能実習ルートがなくなり、試験ルートのみになります。日本語能力試験N4合格、技能検定試験随時3級等または特定技能1号評価試験合格した者のみ、特定技能へ移行できます。
育成就労は、人手不足が深刻な分野で未熟練の外国人労働者を受け入れる制度。在留期間の3年で「特定技能1号」の水準まで技能を引き上げることを目指す。技能実習では職場を変える「転籍」は原則3年間は認められていないが、新制度では一定の要件を満たすと、就労から1~2年で転籍可能になる。
案では、賃金水準の高い東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、京都、大阪、兵庫の8都府県(過疎地域の一部市町村を除く)を都市部とし、地方よりも企業の採用枠や転籍の受け入れ人数を厳しくする。
育成就労は、採用の上限人数が企業の常勤職員数に応じて決まるが、優良な企業は都市部、地方に関わらず上限を2倍とする。さらに地方に限り、企業を監督する「監理支援機関」も優良な場合、上限を3倍とすることも認める。
転籍は、企業ごとに在籍する育成就労の外国人の3分の1を受け入れの上限人数とする。都市部の企業が地方から受け入れる場合、6分の1とより厳しく制限し、地方に配慮する。
また、初期費用をかけて採用した外国人労働者が1年で転籍してしまうと、企業にとってはメリットを受ける前の離職となる恐れがある。このため、採用時の初期費用を一定額とし、最初の企業に在籍した期間の長さに応じて転籍先が初期費用の一部を補塡する仕組みを設ける。過度な引き抜き競争が生じないよう、民間の職業紹介事業者の参入は認めず、仲介はハローワークなどに限る。
新制度で受け入れる産業分野や人数については、有識者会議での議論を経て25年内をめどに決める方針。
また、監理支援機関については、母国語で相談できる体制整備や外部監査人の設置を許可の基準とする。技能実習では来日するのに母国で多額の借金を負うケースが問題化したことを踏まえ、母国で支払う費用は来日後の月給の2カ月分を上限とする。
外国人への支援も手厚くする。ステップアップする先の特定技能1号で必要なレベルの日本語習得に向け、企業が費用を負担して外国人に100時間以上の日本語講習を受けさせることを義務付ける。
・育成就労制度・特定技能制度Q&A
・外国人生活支援ポータルサイト
技能実習制度と育成就労制度の違い






外国人の人材育成のあり方
育成就労制度は、「対象となる外国人ごとに育成就労計画を定めた上で計画的に特定技能1号の技能水準の人材に育成することを目指す」として、計画型の在留資格となります。
人材育成のあり方として、特定技能制度の「業務区分」の中で主たる技能を定めて「育成就労計画」を作成し、その計画に基づいて育成・就労を行い、分野や業務の連続性の強化により、特定技能への移行を見据えたキャリアアップの道筋を描くのが容易になります。
日本語能力の向上策について
育成就労制度では、継続的な学習による日本語能力の向上を目指すため、以下のような日本語能力の要件が定められる見込みです。 ・就労前:日本語能力試験N5合格または認定日本語教育機関において相当講習を受講
・1年目の終了時:日本語能力試験N5合格、技能検定試験基礎等合格
・3年目の終了時:日本語能力試験N4合格、技能検定試験随時3級等または特定技能1号評価試験合格
その他
・新たな育成就労制度は、技能実習ルートがなくなり、試験ルートのみになります。
・日本語能力向上のプロセスはコストがかかりますので、一定程度は受入企業側の負担増となる可能性があります。
・育成就労制度では「やむを得ない場合の転籍」の範囲が拡大され、手続きも柔軟化されます。
・人権侵害などの法令違反が起きた場合だけでなく、例えば労働条件について契約時の内容と実態の間に一定の相違がある場合、「聞いていた話と違う」といったケースでも、転籍が認められます。
・外国人技能実習機構は、外国人育成就労機構に変わります。